おや、後輩君じゃないか。
今日もこんな遅くまで居残り練習かい?
先輩もでしょって…ふふ。そうだね。
じゃあ今日も帰り、ご一緒させてもらっていいかい?
うん、ありがとう。
それにしても最近君の噂ばかり耳にするようになったよ。
そう、君の噂。
弱小だったチームを強豪に変えたエースプレイヤーって。
うちの学年の女の子たちもみんな君のことかっこいいって言ってるよ。
まあ僕からすれば何を今更って感じだけどね。
君がいつも最後まで自主練してたの見てたし。
あはは。でも僕の場合はたまに部員も付き合ってくれるからさ。
君はずっと一人で黙々としてただろ?
ほんと、尊敬するよ。
あのね、こういう時は素直に喜んでいいんだよ?
うん、よろしい。
そういえばさ、君よく部の先輩から嫌がらせ受けてるって言ってたよね。
そこは解決したの?
ああ、辞めたの?その先輩。
へえ、それから部の雰囲気も良くなって皆も練習頑張ってくれるようになったんだ。
こういう言い方はよくないかもだけど、いなくなってくれて正解だよ、あんな奴。
だってそうだろ?君の足を引っ張るだけで特に努力するわけでもない。
はあ。君はほんと優しいな。
そうだね、こんな話やめにしようか。
あ、そうだ。
来月うちの部の公演あるからさ、観に来てくれたら嬉しいな。
ああ、演目は「オペラ座の怪人」だよ。
そう、有名なやつだからもしかしたら展開知ってるかもしれないけど。
観たことないんだ。じゃあ問題なく楽しめると思うよ。
ちなみに僕は怪人ファントム役。
ヒロインじゃないんですねって?
それは僕が綺麗ってことかな?
ふふ。ありがとう。
でもいいのさ。
ファントムは個人的に思い入れのある役だし、何より演じるのが難しいからね。
あ、そうだ忘れないうちに。
これ。チケット。
一枚で二人まで入れるからもし連れてきたい人がいたら誘うといいよ。
ほら、君の幼馴染さんとか。
あはは!なに恥ずかしがってるのさ。
その話も有名だよ?
最近よく一緒にいるんだろ?
ごめんごめん、からかいすぎたね。
ああ、じゃあぼくはこっちだから。
またね、後輩君。
(間)
やあ。来てくれたんだね。
ありがとう。
幼馴染さんもね。
うん、お客さんからの反応も良かったし大成功だよ。
ところでさ、後輩君。
このあと少しいいかな?
ちょっと君と話したいことがあって。
もちろんお二人のデートのお邪魔になるならいいんだけど…
そんなんじゃない?
ならいいよね。
大丈夫。そんなに時間はかからない、と思う。
いいのかい?
ごめんね幼馴染さん。
じゃあ後輩君はこっち来て。
(ドア音)
ここ?
僕の控室だよ。
鍵かけたのはそういう決まりだからさ。
深い意味はないよ。
…